大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和30(あ)436 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人の上告趣意第一及び第三点について。

論旨は、被告人の警察員及び検察官に対する供述調書は強要によつてなされた供

述を録取したものであると主張するけれども、第一審判決は右各供述調書を証拠と

して採用してはいないから、論旨は第一審判決並びにこれを維持した原判決を非難

することにならず、適法な上告理由とならない。また被告人が拘禁されて長く自由

を束縛されたという主張も原判決の判断を攻撃するのではないから、同様に適法な

上告理由とならない。

同第二点について。

第一審判決は挙示の適法な証拠によつて本件犯罪事実を認定したのであるから、

論旨は結局証拠の取捨判断又は事実の認定を非難するに帰着し、適法な上告理由と

ならない。

同第四点について。

論旨は単なる訴訟法違反の主張であつて適法な上告理由とならない。(記録を調

べてみても、第一審裁判官が不当に被告人の発言を抑圧した事実は認められない。

被告人は最終陳述をしているし、証第一号の反物についての弁解もしている。第二

審においての発言は控訴審としての刑訴法上の当然の制約を受けただけのことであ

る。)

同第五点について。

論旨は証拠の判断に関する主張であつて、適法な上告理由とならない。

同第六点について。

記録を調べてみると、原審は被告人のために国選弁護人として松岡益人を選任し、

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同弁護人は事実誤認を主張する控訴趣意書を提出した。第一回公判期日には同弁護

人が出頭して、弁護人及び被告人提出の控訴趣意書記載のとおり陳述し、なお証人

としてA及びBの取調を求めたところ、裁判所は前者を採用し、後者を留保した。

第二回公判には松岡弁護人不出頭のため、原審は長崎祐三を国選弁護人に選任し、

所在不明のため召喚状の送達不能となつた証人Aの採用決定を取消し、留保中の証

人Bの申請を却下して結審し、判決宣告期日を指定した。その期日の通知状は松岡

弁護人に送達され、その期日に判決宣告がなされたのである。以上の経過を見れば

原審の証人申請に関する措置には所論のような不当はなく、また弁護人選任に関し

ても、既に第一審で十分に証拠調がなされておること等と考え合わせてみて、原審

が不当に弁護権の行使を妨げたものということはできない。従つて所論違憲の主張

はその前提を欠き、採用することができない。

被告人の上申書について。

論旨は刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。(のみならずその大部分は上告趣

意書のくりかえしに過ぎず、これに対する判断は、上に説明したところによつて明

らかである。)

弁護人海老原新太郎の上告趣意について。

論旨は単なる訴訟法違背の主張であつて、刑訴四〇五条所定の適法な上告理由と

ならない。(原審の証人申請に関する措置が不当と云えないことは、上記被告人の

上告趣意第六点について説明したとおりである。)

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三〇年六月二八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

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裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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